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空き家解体
2025.06.06

【プロが解説】空き家となった実家、処分方法と放置したときのリスク

空き家処分の現状と課題

空き家問題の背景と現状

日本では、少子高齢化や都市部への人口集中が進む中で、地方や郊外を中心に空き家の数が増加しています。総務省の調査によると、全国の空き家数は年々増加しており、2018年には約846万戸に達しました。これは全住宅数の13.6%に相当し、過去最高を記録しています。この背景には、人口減少や高齢化の進行により、住む人がいなくなった家屋が残されていることが挙げられます。

さらに、相続問題も空き家増加の一因です。親世代が亡くなった後、子供たちが都市部に住んでいるために実家を相続しても住むことができず、結果として空き家として放置されるケースが多く見られます。また、地域の産業構造の変化や交通の便の悪化も、住民が地域を離れる理由となり、空き家の増加を促進しています。

空き家問題は、地域コミュニティの衰退や防犯上のリスク、さらには景観の悪化といった社会的問題を引き起こします。特に、管理されていない空き家は倒壊の危険性があるため、周辺住民の安全を脅かす存在となり得ます。また、放置された空き家が増えると、地域全体の不動産価値が下がる可能性もあるため、経済的な影響も無視できません。

このような背景を受けて、自治体や政府は空き家対策に乗り出しており、特別措置法の制定や補助金制度の導入など、様々な施策が講じられています。しかし、空き家の処分や利活用は依然として多くの課題を抱えており、持続可能な解決策を見つけることが急務とされています。今後は、地域社会全体での取り組みが求められています。

空き家を放置するリスク

空き家を放置することは、様々なリスクを伴うため、注意が必要です。まず、防犯上の問題があります。人の出入りがない空き家は、犯罪者にとって侵入しやすい対象となりやすく、不法占拠や窃盗のリスクが高まります。また、空き家があることで地域の治安が悪化し、近隣住民の安全にも影響を及ぼします。

さらに、空き家は自然災害の被害を受けやすく、台風や地震による倒壊の危険性が増します。これにより、周囲の建物や人々に二次被害をもたらす可能性があります。また、老朽化が進むことで、修繕費用が膨らみ、最終的に大きな経済的負担を抱えることになります。

環境面でも問題があります。空き家が放置されると、雑草や害虫が繁殖しやすく、周囲の景観を損ねる原因となります。これにより、地域全体の資産価値が下がり、近隣の不動産の価格にも悪影響を与える可能性があります。

さらに、空き家を放置することで、行政から特定空き家として指定されることがあり、場合によっては行政代執行による強制的な措置が取られることもあります。これにより、所有者に対して高額な費用請求が発生する場合もあるため、早期の対応が求められます。放置することによって生じるこれらのリスクを理解し、適切な空き家管理や処分方法を検討することが重要です。

空き家の処分方法

売却による処分方法

空き家の処分方法として、売却は一般的であり、所有者にとっても最も直接的な方法の一つです。売却を選択する際には、まず不動産市場を理解し、適切な価格設定を行うことが重要です。市場調査を通じて、周辺地域の相場を把握し、競争力のある価格を設定することで、スムーズな売却が可能となります。また、売却に際しては、不動産会社を通じて仲介を依頼する方法があります。不動産会社は、プロの視点から販売戦略を立て、広範なネットワークを活用して適切な買い手を見つけ出します。さらに、売却時には物件の状態を改善することも効果的です。リフォームや修繕を行い、物件の魅力を高めることで、買い手の興味を引くことができます。特に空き家の場合、長期間放置された状態であることが多いため、内覧時に良い印象を与えるためには、清掃や外観の手入れが欠かせません。売却プロセスが進む中で、契約の締結や引き渡しに伴う法的手続きにも注意を払いましょう。売却による処分は、迅速なキャッシュフローの改善を図る手段として有効であり、空き家の保有に伴うリスクを軽減するための賢明な選択肢となります。

買取サービスの活用

空き家の処分において、買取サービスの活用は迅速かつ手間を省く有効な方法です。買取サービスを利用することで、不動産会社が直接空き家を購入するため、通常の売却に比べて市場での買い手を探す必要がなく、短期間での現金化が可能です。特に、築年数が古く市場価値が低い物件や、立地条件が悪い物件でも買取対象になることが多く、所有者にとっては魅力的な選択肢となり得ます。

また、買取サービスでは、現状のまま売却が可能なため、リフォームや修繕の手間や費用をかけずに済むというメリットがあります。さらに、売却手続きが簡単で、法的手続きや税金に関するサポートも受けられるため、時間や労力を大幅に削減できます。特に、空き家を相続したものの管理が難しいケースや、遠方に住んでいるために頻繁に訪れることができない場合には、買取サービスは非常に便利です。

一方で、買取価格が市場価格よりも低めに設定されることが一般的であるため、可能な限り高値での売却を希望する場合は、他の処分方法と比較検討することが重要です。しかし、迅速な現金化や手間をかけずに処分したい場合には、買取サービスは理想的な選択肢です。買取サービスの利用を考える際は、複数の業者から査定を受け、条件を比較することで、最も納得のいく取引を行うことができます。

不動産バンクを利用した処分

不動産バンクは、地域の空き家を有効活用するためのプラットフォームとして、多くの自治体で導入されています。このシステムを利用することで、所有者は空き家を地域のニーズに応じた形で提供し、処分することが可能です。具体的には、不動産バンクに登録することで、地域の移住希望者や事業者に空き家を紹介し、売却や賃貸の機会が増えるというメリットがあります。また、空き家の特徴や地域の魅力を詳細に掲載することで、潜在的な購入者や借り手の関心を引きやすくなるという利点もあります。

不動産バンクを利用するプロセスは、まず自治体の不動産バンクに空き家を登録し、物件情報を公開することから始まります。多くの自治体では、登録の際に簡易な査定を実施し、適正な価格設定をサポートしています。さらに、不動産バンクは地域の特性に応じた空き家の活用事例を提示し、所有者にとって最適な処分方法を提案します。これにより、空き家の所有者は地域社会に貢献しつつ、負担を軽減することができるのです。

不動産バンクは単なる売却や賃貸の手段に留まらず、地域活性化の一環として機能しています。例えば、地域の人口減少や高齢化に対応するために、空き家を移住者向けの住居や、地域産業の拠点として再利用するケースもあります。このように、不動産バンクを活用することで、空き家問題の解決に寄与しつつ、地域の未来を創造する一助となるのです。

空き家処分に関連する法律と税金

空き家対策特別措置法とは

空き家対策特別措置法は、増加する空き家問題に対処することを目的とし、2015年に施行された法律です。この法律は、空き家が地域社会や住環境に及ぼす悪影響を軽減し、適切な管理や活用を促進するための枠組みを提供しています。具体的には、自治体が特定空き家等として認定した物件に対して、所有者に適切な管理を促すための勧告や命令を発することができる権限を与えています。勧告に従わない場合、固定資産税の優遇措置が解除され、税負担が増加する可能性があります。さらに、命令に従わない場合は、最終的に行政代執行によって強制的に対処されることもあります。この法律は、空き家の適切な管理を促進するだけでなく、地域住民の安全確保や景観保全にも寄与しています。また、空き家の適正な利用を推進するための支援策も法の一環として含まれており、自治体による空き家の活用計画の策定や、活用に向けた資金援助なども行われています。これにより、地域の活性化や住環境の改善が期待されています。空き家対策特別措置法は、空き家問題に対する包括的なアプローチを提供し、所有者と地域社会の双方に利益をもたらすことを目指しています。

空き家処分にかかる税金の解説

空き家を処分する際に発生する税金について理解しておくことは、負担を最小限に抑える重要なステップです。まず、空き家を売却する場合、譲渡所得税が課せられます。この税金は、売却価格から取得費と譲渡費用を差し引いた譲渡所得に対して課されるもので、長期譲渡所得として扱われる場合、税率は20.315%(所得税15.315%と住民税5%)です。短期譲渡所得の場合は39.63%(所得税30.63%と住民税9%)となり、所有期間によって大きく異なります。

さらに、固定資産税も重要な考慮点です。空き家の状態によっては、住宅用地の特例が適用されず、非住宅用地としての高い税率が課される可能性があります。これにより、年間の税負担が大幅に増加することがあります。空き家を長期間放置すると、特定空家等に指定され、さらに税負担が増す可能性があるため、注意が必要です。

また、相続した空き家の場合、相続税が発生することがあります。これは相続財産全体の評価額に基づいて計算されますが、空き家の評価額が高い場合、相続税の負担が増加することがあります。さらに、空き家を売却して得た利益に対しても譲渡所得税が課されるため、二重の税負担を考慮する必要があります。

税金の負担を軽減するためには、控除や特例を活用することが重要です。例えば、マイホームを売却する場合には、一定の条件を満たすことで3,000万円の特別控除が適用されることがあります。この控除を受けるためには、売却の前に詳細な条件を確認し、適用可能か判断することが必要です。

空き家の処分を検討する際は、これらの税金に関する知識を持ち、適切な計画を立てることが、最終的な負担を抑える鍵となります。専門家のアドバイスを受けることも、最適な処分方法を選択する上で有益です。

相続した空き家の処分方法

相続手続きの基本と注意点

相続手続きは、亡くなった方の財産を法的に受け継ぐための重要なプロセスです。まず、相続人は法定相続人であるか、遺言書がある場合はその内容を確認することが必要です。遺言書が存在する場合、家庭裁判所で検認手続きを行うことが求められます。次に、被相続人の財産をリストアップし、資産と負債を正確に把握することが重要です。特に、空き家が含まれる場合、その評価額を明確にすることが後の手続きで役立ちます。

また、相続には期限があり、相続放棄を希望する場合は、被相続人の死亡を知った日から3ヶ月以内に手続きを完了しなければなりません。この期限を過ぎると、全ての財産と負債を引き継ぐことになります。相続税の申告も重要で、相続開始から10ヶ月以内に行う必要があります。専門家のサポートを受けることで、手続きの遅延や漏れを防ぎ、税務上のメリットを最大限に活用することができます。

注意点として、相続手続きに関する法律や税制は頻繁に変更されるため、最新情報を確認しながら進めることが推奨されます。複雑なケースでは、弁護士や税理士に相談することで、不安やトラブルを未然に防ぐことができるでしょう。特に、相続した空き家に関連する手続きは手間がかかるため、早めの行動と適切なアドバイスが重要です。

相続した空き家の評価と売却

相続した空き家の評価と売却は、適切な手順を踏むことでスムーズに進めることができます。まず、空き家の評価を行うことが重要です。評価の際には、地価や建物の状態、周辺環境などを考慮し、専門家の意見を参考にすることが推奨されます。不動産業者や不動産鑑定士に依頼することで、より正確な市場価値を把握することが可能です。また、相続税の計算にも影響するため、評価額を正確に把握しておくことが重要です。

次に、売却を検討する際には、販売方法を選択する必要があります。不動産会社を通じて一般市場で売却する方法や、不動産オークションを利用する方法があります。売却活動を始める前に、空き家の状態を整えることも大切です。修繕やクリーニングを行うことで、物件の価値を高め、購入希望者に好印象を与えることができます。

また、売却に伴う費用や税金も考慮する必要があります。例えば、譲渡所得税や仲介手数料など、売却後に発生するコストを事前に把握し、計画的に対応することが求められます。さらに、売却までの期間を見越し、管理費用や固定資産税の負担についても考慮することが重要です。

相続した空き家の売却は、多くの手続きや判断が必要ですが、専門家のサポートを受けながら進めることで、より円滑に処分を完了することが可能です。適切な評価と計画的な売却戦略を立てることで、相続による資産を有効に活用することができるでしょう。

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